ガーデニングの将来

毎年、首都圏では大規模なガーデニングや園芸関係の見本市がいくつも開かれます。
広い会場に出展者のブースがいくつも並び、すばらしいガーデンを再現したディスプレイなんかもあって、一回りするのに3時間もかかったりします。
私はかつて、コンピュータ関連の会社に勤めていたので、よくデータショウやビジネスショウといった大きな見本市に出かけていったことを思い出します。
そのころは、まだこんなに景気が冷えていなかったので各社のブースも派手にデモンストレーションやノベルティグッズを配布したりしてそれはもう大盛況でした。
私は、先端技術に触れて、仕事に何とか役立てようと結構真剣に見学しましたが、どうもその膨大で複雑な情報に圧倒されて結局何もわからずじまいで帰ってきたものでした。

植物に関わるようになって今度は園芸関係の見本市に何度か足を運びました。
植物の種類ばかりでなく、園芸資材のことも修行中に随分覚えたので、あちこちのブースに立ち寄っては、担当の人に質問を投げ、要望を出し、注文をつけたり…。
われながらイヤな「業界人」と化してしまいました。
毎年新しい商品がつぎつぎと披露され、異業種からの参入も増える一方。
ああガーデニングブームなんだなあと感じたとき、私はパタッと「イヤな業界人」をやめてしましました。
見本市自体がむなしく思えてきて、すっかり興味がなくなってしましました。
「環境にやさしい…」「ISO××××取得!」「業界初!」「最高のガーデンライフのために」なんていうキャッチコピーが並ぶのを見るとため息が出てしまうんです。

栄枯盛衰の激しい世の中、どれだけの企業がガーデニングに参入し、そして失敗し撤退したでしょうか。
確かにお役立ち商品や便利グッズはいっぱいありますよ。
欧米直輸入のカッコイイストラクチャキットなんかもいいですよ。
でもね、ガーデニングを流行ととらえ、今後ますます需要が増えるっていう、マーケットリサーチ主導の商品開発・販売方法だとすると、どちら様も競争に明け暮れて疲れてご苦労さんてことになるんじゃないかな。
ガーデニングは文化ですよ。歴史ですよ。生活の一部なんですよ、本来は。
特別なものにまつりあげちゃあいけません。
新商品やアイデアグッズを買い揃えなくても、ガーデニングはずーっとできるんです。

何事も道具から入る人がいますが、ガーデニングはそれにはなじみません。
ガーデニングが自分の人生の当たり前の一部になる人がいっぱい増えてほしいですね。
日本でもオープンガーデン見学ツアーが行われる昨今ですが、庭のスタイルを見学しにバスを連ねるより、その庭を作ったオーナーとはどんな人なんだろうという興味で訪れる人が増えるといいなあ。
でないと日本のガーデニングは文化として根ざしていかないような気がします。
なんとなくブームが去るか、一部の愛好家だけが突出したガーデニング事情を創出していくだけになってしまうような…。

21世紀になって、グローバルな諸環境は悪化の一途をたどるばかり。
子供たちに胸を張って残してやれるものがなくなったら悲しいですよね。
せめて、植物と関わりができた私たちは、暮らしている地域の中で植物と上手に共生する方法を学んでいくべきではないか、その中から独自の、というより快適なコミュニティ文化が醸し出されてくるんじゃないか、そんな風に最近思うんです。