植物の名前について

花や木の名前、いくつ知ってますか?いっぱい知りたいですか?
どうしたら覚えられるでしょう。
短期間に覚えたいのなら「でる単」方式ですね。
(「でる単」って?すみません。私の受験時代は「試験にでる英単語」で、丸暗記したものですから。)
図鑑やカタログを見ながら繰り返し名前を言う。これでOK! 
(・_・)(+_+)(*_*)

はて?何か違うな…。
なぜ名前を覚えなければならないのだろう。
「あの黄色くて花びらのいっぱいついてる秋に咲く50cmくらいの背のお花」と言えば、自分自身には何のことか頭に思い描くことができるのだから、無理して名前を覚えなくてもいいんじゃないか。
屁理屈ですね。それは。

相手の名前を知ることはコミュニケーションの第一歩ですよね。
花や木たちと「語らう」ために名前を知りたいんですよね。
当然の欲求なんです。
お友達と花談義するときも「あの黄色くて…」なんて説明してたらなんだか間抜けで興ざめしちゃいますもんね。

私はほとんどの場合、名前を覚えようと努力しません。(ただのズボラとも言う)
見知らぬ花に出会ったとき、私の
心にどれだけ印象づけられたかが、名前を覚えるカギとなります。(もちろん仕事で頻繁に「登場」する種類は、否応なく覚えますけど)
つまり、植物たちと向き合う心のスペースの大きさの度合いで、関わりができるか、ただ通りすぎていくかが決まってしまう。
感応力キャパシティが問題なんだと思うんですよ。

だから、無理に覚えようとしても覚えられない。
これが判ったときから無駄な努力はやめました。
そうしたら、いつのまにか、どんな人と花の話をしても名前で困らないほど結構頭の引き出しにいっぱい名前が入ってました。
(そのくせ人の名前はなかなか覚えない…
(-_-; )


もうひとつ、植物の名前を覚えにくくしている大きな原因に、
流通上の表記の問題があります。
このことは、
日本では園芸が文化になっていない大きな証拠でもあります。
分野として成熟していないから、植物に関わるいろんな立場の人がそれぞれの都合がいいように名前を利用するばかりで、結局末端の生活者に混乱をもたらすのです。

たとえば「クリスマスローズ」。
名前のひびきがとてもきれいで雰囲気がありますよね。
日本ではキンポウゲ科ヘレボラス(あるいはヘレボルス)属のものをすべてこう呼ぶことが一般的です。
nigerという種のことを本来意味するのであって、同属のorientaris(オリエンタリス)やfoetidus(フォエティドゥスまたはフェチダス)、lividus(リウィドゥスまたはリビダス)はあくまで別種です。
そのnigerでも'ニゲル'だったり、'ニガー'だったり、'ノイガー'だったり。
さらに同じ科でクロタネソウ属の'ニゲラ・オリエンタリス'なんていうのを花屋さんで見た日には、頭がパニックじゃ!

「リコリス」って知ってますか?そう!初秋に咲くいわゆるヒガンバナの仲間の。
でもハーブの世界でリコリスといえば、マメ科グリキリザ属のglabraのこと。
漢方にも使われる'カンゾウ'(甘草)ですよ。
ところがこの'カンゾウ'、山歩きする人や山菜採りに行く人にとっては、ユリ科のヤブカンゾウやノカンゾウのことなんですよね。
こりゃもうわけわからん!いったいどうすればいいんじゃ!

最近流通量の多い「雲間草」。
'くもまそう'っていう名前で売られてますが正解は'くもまぐさ'。
でも本当のクモマグサは本州中部の高山帯に生える高山植物で、出回っているのはまったく別種のrosacea(ロサケア)という"洋種"クモマグサなのです。

こんな問題はどうでしょう。
「ハツユキカズラ」と「ハツユキソウ」と「ハツコイソウ」の区別つきますか?
「ヘリクリサム」といって思い浮かぶのは、ムギワラギクですか、それとも寄せ植え素材によく使われるフェルト状の葉のペティオラレの方ですか?
「ベルガモット」ってどんなのか知ってますか?モナルダのことでしょ!いやいや本家本元はイタリアが主産地のミカン科ベルガモットオレンジ(Citrus bergamia)のこと。
例をあげたらキリがありません。

もう少しなんとかならないものでしょうか。
ガーデニングに関わるものとして、少なくとも流通名のほかに科名・属名だけでも苗や種のラベルにつけてもらえると栽培特性を知るてががりになるんですけどね。
最近は名前すらわからないで売り場に並んでいるものがあるのを見るとなんだか植物たちもソデにされているようでかわいそうです。
生産者・種苗会社・販売店・学者研究者そして一般市民の代表者が集まって、
植物の名前に関する協議機関を作り、啓蒙を図って行けたらどんなにすばらしいでしょう。
いつかきっかけを作りたいなどとたくらんでいるこの頃です。