ガーデンデザインというもの

私は、学校に行ったり、誰かに師事したりしてガーデンデザインを勉強したことがありません。
だって、ガーデンデザイナーになったわけではないから。
自分の持っているものを表に出していったら、たまたまガーデニングにかかわる仕事につながっていき、自ずとデザインをするようになっただけ。
お客様のライフスタイルや好みや制約事項なんかを総合して、現実的な、お客様にも施工する側にも身の丈にあったデザインをしてきたつもりです。

だから、世に言う「カッコイイ」デザインとか「おしゃれ」なデザインを敢えてしたことはありません。
もちろん、デザイン性や施工手法、素材調達に関しては常に新しく、レベルの高いものを学んでいかなくてはなりません。これでメシ食っているわけですから。
でも、デザインする上で最も大事なことは、
その庭がお客様(あるいはご家族)の住空間であるという認識

時として、お客様のご希望は、要を得ないことがあります。
たとえば、「お金をできるだけかけないで、手間もかからなくって、いつも花いっぱいの庭がいいんだけど、主人は全然ガーデニングに理解ないし、私は花のことよく知らないし・・・」といった具合。
このとき、ガーデンデザイナーは注意しなくてはなりません。
自分のスタイルに走ってはなりません!
人が住むための庭をデザインする限り
ガーデンデザイナーはアーティストになってはいけないと思うんです。
「押しつけ」が生じかねないからです。
庭づくりは「モノ」を作るのとは違います。
むしろソフトウェアの集大成といってもいいでしょう。
住む方が快適に感じ、有効に利用して始めて「庭」たる意味があるわけですから。

だから、お客様とのコミュニケーションをより深めていき、お客様の求めるところを引き出せなければ本当の庭づくりはできないんじゃないかと。
そこではかなり突っ込んだ話になる場合もあるし、やっぱりお客様の真意がつかめず、やむなく退くことだってある。
むしろ変な妥協は、のちのトラブルの種を残すことになるので、100%の成約を目指すくらいなら(何が何でも仕事を取りたいなら)、別の職業の方がいいとまで思っています。

ところで、私がデザインするときの方針に
「樹木を減らす」ということと「ヘリは後回し」という鉄則があります。
なんだか、緑の仕事をしてるのに矛盾するような言い方ですが、実はごく一般的な住宅のお客様が多いことが関係しているのです。
従来の日本の住宅地というのはまず塀や柵や生垣で囲まれています。
それにともなって、
樹木の植栽はどうしても敷地の周囲から中央に向って配置されます
花壇も塀際や建物に沿って作られるケースが多いわけです。
この場合、
緑地としての面積は確保できますが、ただ横長ののっぺりした花壇になったり生垣やハイフェンスに日光がさえぎられたりします。
また、
面積が広いため、つい空いている場所に衝動買いしてきた樹木や草花を植えたりして、いつのまにか見苦しくなったりしがちです。

通常、
ポイントとなる緑はシンボルツリーを含めて1.8m以上の樹木が3〜5本(またはグループ)で十分です
しかも、
この本数で道路からの目隠しもできるんです!
何でひとんちの庭も見ないでそんなことがいえるんじゃ!とお怒りの方もいらっしゃいましょうが、ここにはマジックがあるんです。(説明すると長くなるので省きますが…。)

シンボルツリーが決まれば、次は花壇の場所を決めるわけですが、動線(=人の動く道筋)をできるだけ敷地の外周に近い部分に取っていきます。しかも直線的にならないように。
するとこの道筋の両側に必然的にスペースが区切られ、花壇やポイントとなる樹木の植栽スペースになり得るわけです。
敷地の中央に近い部分を意識的に花壇とすることでむやみな植栽可能面積の拡大を防ぎ、日照条件を改善し、デザイン的にもメリハリがつけられます。
敷地の外縁部は全体のバランスを取るためのバッファ
と考え、一番最後にデザインします。

どうですか?なんとなくご理解いただけたでしょうか。
一度ご自分の庭のデザインにチャレンジしてみてください。そうすれば、デザインするのに何が必要か多少はおわかりいただけるかと思います。